日記

30代独男、転落の軌跡

10月29日(水)

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 若いころは有名になりたいと思っていた。その結果として金持ちになれればと思っていた。
 
「何をして有名になって、お金持ちになりたいかが重要なんだよ」
 
 正論は好きになれない。正論をいう人間は高い位置にいて、迷路で迷う人を蔑んでいるけど、自分がいつ崩れてもおかしくない崖っぷちに立っていることに気づいているのだろうか?
 
 具体的といえるかどうかはわからないが、漠然と絵を描いて有名になりたい、金持ちになりたい、生きていきたい、そう思っていた。
 
「有名になって、金持ちになって何をするの?」
 
 質問の意図がわからない。どうせどう答えても、もっともらしい道徳、真理を説くだけなら帰ってくれ、だ。
 
 しかしながら最近は、前にもまして酷い。やりたいこともない。夢も希望もない。とにかく金が欲しい。大金が。
 
「金があったら何をするの?」
 
 愚問だ。少なくとも生産的なことは何もしない。食べたいときに食べ、寝たいときに寝て、本を読んだり映画を見て一生を終える。
 
「そんなので人生楽しいの?」
 
 想像力の乏しい人間はこれだから困る。誰もがステーキを食べたいと思うな。薄いハムで満足な人間もいる。そしてサラダだけでいいという人間っているんだ。
 
 特に趣味もなく、女もなく、食べるわけでも飲むわけでもない。そんな生活でそこそこのお給金をいただいていると、貯蓄は増えていく。
 
 でも定年までこれを続けても、老後を余裕を持って暮らせるかは微妙だし、いつ死ぬかわからないし、余裕を持てたところでそれで良しとは到底思えないし、だからといってマカオに飛んで赤黒に一発賭けるような勇気はないし、燻って、煮えきらず、自分はこの生を終わらせるのだろう。
 
「それでいいの?」
 
 いいわけねぇだろ、ハゲ!