一泊二日の出張先、岡山。
仕事の付き合いを終え、夜の街へ。
どうでもいいが、昼も夜も、制服姿のジャリガキが多いのは気のせいか?
あとナンパ的な男女の乳繰り合いをやけに目にするのも気のせいか?
知り合いでも探してるのかなと思って、なんとなく眺めていたら、その子と目があった。
まあバカっぽいけど可愛い子だったから、ボクは得意の意味深な笑みをくれてやった(ボクは軽く酔っていた)。
するとその子はエスカレーターに乗っているボクよりも先に階段を駆け下りた。
探していた知り合いが見つかったんだろう。そう思った。
後ろに手を組んでニコニコと下ってくる人波を見上げている女の子。
鼻で笑って、通り過ぎようとするボクに彼女は言った。
「え、普通通り過ぎる?」
しまった、どうやら客引きだったようだ。
ここは岡山。
可愛い小鬼に連れられて鬼ヶ島に行くのも一興と思ったが、翌日も仕事がある。悪いね、小鬼ちゃん。
「カモるなら地元の人にして」
「は? 意味わかんないし」
歩みを止めないボクを小鬼ちゃんは追ってくる。
「トーキョーから出張できてるの。上手くカモれても一晩。そんなのに時間使うなんて無駄でしょ」
「何それ、誘ったのそっちじゃん」
ああ、意味深な笑みが効いてしまったのね。
「昔好きだった女に似てたんだ(嘘)。ゴメンね」
ボクはブーブー言ってる彼女を無視して足を早め、小鬼ちゃんはそれ以上ボクを追ってこなかった。
行こうと思っていた店は満席で、結局入れなかった。
駅前に戻り、桃太郎像の前に腰掛け缶コーヒーを飲んで、この後どうしたものかと思案していると、噴水の前に女の子が座ると男が声をかけ夜の街に消えていく、そんなことが何度も繰り返されていることに気づいた。
岡山にはナンパの文化が根付いているのか?
気になって隣に座っていた高校生カップルに訊いてみた。
「ねえ、地元の子だよね」
「はい」
「トーキョーから出張で来てるんだけど、岡山ってナンパの多くない?」
「ああ、この辺は多いッスよ。待ち合わせっていったら噴水前ってのが定番(桃太郎像の前)で、みんなそこにいる女のグループに声かけるのは当たり前みたいなもんッスね。あと、あそこにマックあって、あの辺に立ってるホストさんが女の子に声をかけて、店に連れて行くんッスよ」
「ナンパスポットでありホストの狩場か。なるほどね。そういえばさっき俺もエスカレーターのとこでキャバクラの子に声かけられたよ」
「キャバクラッスか?」
小首をかしげ顔を見合わせる高校生カップルに、ボクはさっきの小鬼ちゃんとのやりとりを話した。
すると女の子のほうが言った。
「それたぶん逆ナンですよ(笑)」
ボクはふたりに礼と「こんなところにいるとどっかの県議にラインのアカウント訊かれるぞ」と言い、小鬼ちゃんのいたエスカレーターに向かった。
もちろん小鬼ちゃんはいなかった。
あのときの小鬼ちゃん、これ読んでたらコメントください。