日記

30代独男、転落の軌跡

11月28日(火)★

 6時起床、17時退社。

 いつものように仕事を終え帰ろうとすると取引先の社長から「ちょっと付き合え」と電話がかかって来た。社長が俺をそんなふうに誘うことは珍しい。というより初めてだ。

「九州の方から兄弟が来ていてな」

 その「兄弟」とは、社長がいつか言っていた「血とは別の何かで繋がっている兄弟」のことだと俺はすぐにわかった。心の中の警報機がそれこそドラキュラが好みそうな真っ赤な血の色で「Danger(危険)」を知らせていたが、俺は社長に付き合うことにした。もっともうだつの上がらない一介のサラリーマンが取引先の社長の誘いを断れるはずなどないのだが。

 タクシーに乗り、運転手に社長に言われた新宿方面の住所を伝える。そして走り出した車の中、俺はこれから会う「兄弟」に自分の名刺を渡していいのか考えた。名刺に書かれた電話番号は会社のものだけで携帯番号はない。メールアドレスも会社のパソコンに紐付けされたものだ。とはいえ、何か自分でも想像のつかない面倒なことになりはしないだろうか。考えがまとまらないうちにタクシーは一軒の寿司屋の前で止まった。

 暖簾をくぐり、着物の店員に社長の名前を告げるとカウンターを通り越し、いくつもある個室の奥の奥の部屋に案内される。高そうな襖の向こうから知っている社長の声と知らない男の声、女の笑い声が聞こえてきた。やはりDanger(危険)だ。

「お連れ様、いらっしゃいました」

 店員の声に押され中に入る。俺が住んでいるワンルームの倍はある立派な床の間のある和室に「おお、来たか」という社長と「何だ兄貴、性癖変わったのか」という怪訝な男と「アラ、イケメン!」という女1と、笑顔で「ドウゾドウゾ」という女2と女3がいた。

(以後、暇なときに続きを書く、かも)