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余命46年

30代独男、転落の軌跡

4月21日(木)

 5時起床、17時退社。

 気まぐれにいつもの書き方と違う書き方で日記を書いてみる。進化論でいえば、生き残るのは強い者ではなく変化する者らしい。

 多くのサラリーマンに比べればお気楽な仕事だし、ノルマなんてないし、拘束時間も短いし、その割に給料もいいから不満なんてないだろうと君は思うかもしれないけど、人間、人間である限り天国にいたって不満は出るもので、もちろんこの会社は天国ではないし、耐えられない人には耐えられないタイプの組織だから、当たり前に不満は出る。少なくとも「君のために」なんて軽々しく言う奴を信用してはいけない。そいつは自分のことしか考えていないクソ野郎で、船が沈みそうになれば一番に逃げる奴で、平気で人の物を盗むような奴だから。

 毎日、毎日、鉄板の上で焼かれるなんとかみたいで嫌になっちゃうから、海に飛び込むわけにはいかないけど、小雨の降る中、何か変化をと思って帰りにファーストフード店に寄ってコーヒーを飲みながら愛をテーマにした小説を読んだりしてみた。どーってことない変化だけど脳みそは喜んでくれたみたいで、誰かと話したい気分になって、記憶にある誰のかわからない090から始まる番号を押してみた。

「はい」

 女の声だった。

「もしもし、俺だけど」

「俺って誰?」

「今まで出会った男の中で、一番会いたくない奴を思い出して。たぶんそれが俺」

 5秒の沈黙の後、女はKからはじまる男の名前を口にした。それで女が誰かわかった。

「それは足の小指を舐められるのが好きなロリコン変態クソ野郎でしょ。そんな奴と一緒にしないでくれ」

 3秒の沈黙の後、女は電光石火の速さで電話を切った。クソ野郎より2秒も早く思い出したらしい。我ながらよくもまぁ嫌われたもんだと思った。

 できるだけ多くの女と寝たいと思う日もあれば、二度と女と関わるのはごめんだと思う日もある。巨乳を求める日もあれば、美乳を求める日もある。なんにしても肌が汚い女は好きじゃない。

 雨が止んでいるようにと心で3回祈って外に出た。雨は止んでいなかった。