居酒屋での接待飲みの帰り、上司が「番号交換してもらいなさい」と半ば強引にボクの携帯番号と女子店員の携帯番号を交換させた。
たぶんバイトなんだと思う。年は24、5といったところだろうか。容姿は普通。はっきりいって自分のタイプではない。
会社の近くの居酒屋で、また利用する可能性もあることからお礼のメールぐらいはしなくてはと思い、後日、酔った勢い(無性に淋しい気分になっていた)でしてみた。
「昨日は上司の無理な要求にご配慮いただきありがとうございました。また利用させていただくことがあると思いますので、よろしくお願いします。」
返信は(ショート)メールをしてから一時間後にきた。
「こちらこそ先日はご来店ありがとうございました。上司様が満足されたら何よりです。いつでもお立ち寄りください。お待ちしております。」
ここで終わっても良かったのだが、おとといの夜のボクは淋しさの中にいた。
「返信あって安心しました(笑)今日もお仕事ですか? お疲れ様です」
返信はすぐにきた。
「はい。今日は忙しかったです。お互いお疲れ様です」
「ありがとうございます。今日も付き合いで飲まされました」
「連日大変ですね(笑) 頻繁にあるんですか?」
「頻繁ってわけではないんですけど、上司には可愛がってもらってます。やっぱり居酒屋で働いているってことはお酒すきなんですか?」
「お酒は好きですが、そんなに強くないですよ」
プロの卓球選手の試合前のウォーミングアップのラリーのように、テンポよくここまでのやりとりが続いたところで、ボクは一気に萎えてしまった。
別にタイプでもない女と俺は何やっているんだ?
淋しいからといって誰でもいいわけじゃない。
自分のタイプの女の人と自然に出会える確立を『奇跡』というんだろう。