日記

40代独男、転落の軌跡

8月11日(土)

 青春18きっぷを使い、新宿から宇都宮、宇都宮から黒磯へと乗り継ぎ、東北にある実家へ帰省。

 道中トータル6時間の移動。車中混雑していたが、こちらは身ひとつ。座席を無事確保し、タブレットで本を読んだり、映画を観たりであっという間。

 途中、郡山駅で昼飯でもと思ったがどこも混んでいる。「しかたなく」と言いつつ蕎麦食いの楽しみ、駅立ち蕎麦屋へ。

 改札を出てすぐのところにあった、そば処あさかで野菜かき揚げそばを食べた。混雑が幸いしてなのか、揚げたてのかき揚げ。蕎麦もつゆも美味しかった。

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 隣で老夫婦が茄子が入った冷たいお蕎麦を食べていて、旦那のほうが「茄子が旨い」と言った後、しばらくして奥方が「コシがあって美味しい」と言うと旦那が「茄子にコシがあるか! 馬鹿じゃねぇのか!」と怒り出した。いやいや、麺のことだろうと突っ込みを入れたいぐらい、奥方が不憫でならなかった。

 38歳独身としては、これほど結婚とは夢がないものかと思った。こんなものならば一生独身でいいと。

 実家に着いてから、父にも母にも「相変わらずか?」と訊かれた。

 独身は罪なりや?

 あー、恋がしたい。

8月4日(土)

 前日、寿命を告げられた自転車を別の自転車屋に持っていた。

 対応してくれたのはペーペーの林屋パー君で、チェーン周りを重点的に全体の点検と磨り減った前輪タイヤの交換を頼んだのに、昼過ぎに引き取りに行ったらタイヤ交換だけしかしておらず、空気の抜けていた後輪タイヤもそのまんま。

 自転車屋はどこもこんなものかと店を後にし、明らかに緩んでいるチェーンはどうにかせねばとまた別の自転車屋へ。

 そしてやはり面倒くさそうに対応してくれたお兄ちゃんに「今回上限限界まで締めたから、次はない」ことを告げられた。

 やっとまともな答えが得られた。なぜ最初の自転車屋といい、次の自転車屋といい、このぐらいのことが言えないのか?

 さて、寿命は受け入れたが、今さっき4千円払って付けてもらったピカピカの前輪タイヤが泣いている。せめて後輪タイヤのパンクかチェーンが引きちぎれるまで乗らねば彼に申し訳ない。

 ということで帰宅後、自分でチェーン周りの掃除をすることにした。

 ネットで調べたところ、洗濯洗剤でチェーンの油汚れは落ちるとのこと。部屋に自転車を運び込み、歯ブラシに洗濯洗剤を付けゴシゴシ。なんということでしょう! 真っ黒ベッタリ油まみれだったチェーン及びその周辺が新品のようにピッカピカに。そこに百均の機械油を塗ってフィニッシュ。試しにその辺一周したらとてもいい感じ。

 今回のことを教訓に、自転車について勉強しようと思う。定期メンテナンス、チェーンの緩みを締めるぐらいは自分で出来るように工具やクリーナーを揃えなければ。

 あーあ、こんなことより恋がしたい。

8月3日(金)

 有給休暇、平日休み。

 ここ数日、自転車がガタガタいって今にも壊れそうな状態だったので、自転車屋へ修理に持っていった。

 路面店、外の猛烈な暑さに対し昭和の扇風機ひとつで立ち向かう自転車屋のお兄ちゃんは明らかに面倒くさそうに「寿命」という診断結果をくれた。

 10年近く乗っているし仕方ないと思う反面、ろくに診もせず出されたご臨終宣言に遺族として納得いかないと思いつつも、買い替えを検討するため「別の自転車屋へ」行くことにした。

 移動の電車内、前から欲しいと思っていた電動アシスト自転車スマホで調べて買い替える気満々になる中、「盗難補償」のページを読んでいて気がついた。「こんな補償があるってことは、盗まれる可能性がそれだけあるってことじゃん」

 電動アシスト自転車が世に出て何年経つかは知らないが、未だに盗難は日常茶飯事なのか?

 気に入った自転車に10万円出すのはおしくはないが、盗まれるのを前提で買うバカがいるかという話。

 結局、普通の自転車を買うぐらいならと、ネットで自転車修理に関して評判のいい店を探して、今乗っている自転車を修理してもらうことにした。

 点検修理と磨り減った前輪のタイヤを交換してもらうと安い新品自転車が買えるぐらいの金額になるが、それでも盗まれる自転車やとりあえず的で選ぶ自転車に乗るよりはマシだ。

 ところで自転車も車のように登録制にすれば盗難もなくなるし、放置自転車もなくなるし、いいことづくめだと思うのだが、そうならないのはやはり金の問題か?

 防犯登録に関してもそうだが、自転車業界に関わる偉い人には盗まれた後の対策ではなく、盗まれる前の取り締まりを強化するために方策を練ってほしいものだ。

7月27日(金)

 プレミアムフライデーだからというわけではないが、友人と飲みに出かけた。

 店は隣の席との仕切りのない、昭和大衆居酒屋をコンセプトにしたような店で、案内された席の隣には30代後半と前半の上司部下と思われるサラリーマンふたり組、その奥に若い女子ふたり組という席だった。

 基本個室で静かに飲みたい自分がその騒がしい店を選んだのは、お目当の可愛い店員がいるからなのだが、残念なことにその子は出勤日ではなかったらしく、そうなってくると隣の男たちが隣の女子たちに絡んで楽しそうに飲んでいるのがやけに目につく。

 ふたりの女子は渋谷辺りで石を投げればぶつかるような感じの容姿で、男のほうはというと上司は毛むくじゃらのゴリラ、部下のほうは自己採点80点の勘違い野郎といった感じ。勘違い男は女のほうに前のめりになり、度々「ちょっと近いから」と注意を受けていた。

 俺の心の中のドーラが叫ぶ。「すり抜けながら、かっさらえ!」

 「居酒屋でナンパする方法」を知りたい人の参考になれば幸いだが、リスクなくナンパするには「ナンパされた人」をナンパすればいい。下がっているハードルは簡単に飛び越えられる。こちらにもある程度の容姿は必要だが。

 しばらく普通に飲みながらチラチラと女子のほうに視線を送り、目があったら外すというのを繰り返した。

 そして女子がお手洗いに立ったのを見計らって自分も席を立った。用を済ませ扉を開けた洗面台の前にその子がいてこちらの顔を見つけると「あっ」と、頼んでもいないのに話しかけてきた。

「うるさいでしょ。ごめんね」
「いや、別に。楽しそうでいいじゃん」
「全然楽しくないし」
「知り合いなの?」
「知り合いじゃないし。絡まれて困ってるんだよね」
「でも奢ってもらえるんでしょ?」
「奢りとか別にどうでもいいし。ねぇ、助けてよ」

 普通こういう展開になれば「じゃあ他の店に行こう」とか、女子を餌にこちらの飲み代もサラリーマンふたりに払わせるようなことをするのだが、自分ももう若くはないし、ゴリラと勘違い野郎がファイト一発している姿が笑えてきて「頑張って」と席に戻った。

 世の中、本当に上手く出来ていると思う。

 みんながみんな一つの美しさしか認めないなら、命は繋がらない。妥協という後ろ向きなものではなく、個々それぞれにある感覚、多様を受け入れる器、それが命を繋いでいる。

 しかし神に問いたい。なぜ自分の器はこんなに入り口が狭いのか、と。

 選球眼がメジャー級でも、バットを振らなければ草野球でも通用しない?

 いやいや監督、どうやら自分の球はそこそこ通用するみたいです。

 あー、恋がしたい。

7月23日(月)

 愛媛4日目、最終日。

 愛媛から東京へ帰るの巻。

 早起きして道後温泉本館の中を見学して空港に向かうつもりだったが、昨日の飲み屋での一件でやる気をなくして、何もせず何も見ずに帰ることにした。

 道後温泉から松山空港まではリムジンバスで移動。

 空港でまだ食べていなかった郷土料理さつまめしをレトルトかなんかのお土産でないものかと探したがなく、かどや松山空港店で食べることにした。

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 正直あまり美味しいものではなく、あと数百円出して鯛めしを食べれば良かったと後悔。

 昼過ぎに羽田空港に着き、最寄駅まで移動して散髪。

 帰宅後荷ほどきをして洗濯をして、夕方図書館に行って本を借りて部屋に戻って寝た。

 いつか歩いているこの道が、懐かしくなる日が来るんだろう。

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